「どこが悪い?」はもう古い! 不調は体内ネットワークの乱れ ホリスティックに整えよう

Published on: 11/03/2024 | Last updated: 11/03/2024

病院に通っても薬をのんでも体の不調がなかなか治らない…。よくあるお悩みですよね。実は最新の科学ではもう答えが出ています。従来型の医療のベースになっているのは、身体を独立した機能をもつ部品の集合体とみなし、壊れた部品を修理すれば病気は治るという考え方。しかし近年、わたしたちの身体はきわめて複雑なネットワーク・システムであり、その連携が乱れたときに不調が生じることがわかってきました。これにより特定の原因への対症療法ではなく、全体の相互作用を調整して病気の根本治癒を目指す革新的なアプローチに注目が集まっています。ネットワーク医学(Network Medicine)がもたらす可能性、そして課題とは?

実は2000年代に入ってから医学の世界では人体というものの概念が根本的に覆るような劇的な変化が起きています。科学技術の発展ととも身体の仕組みをより精密に解析できるようになると驚くべき事実が明らかになったのです。まず医学の歴史を振り返ってみましょう。

17世紀〜 “人体機械論” 壊れた部品を修理する対症療法

近代の西洋医学のベースとなっているのは17世紀に哲学者ルネ・デカルトが確立した医学論。

そこでは人間の体は機械と同じと見なされました。車や時計と同じように、それぞれの役割をもった部品が組み合わさって機能するもので、病気というのは部品のどれかが故障している状態。したがって不具合が生じた部品を修理したり取り換えたり取り除いたりすれば病気を治すことができるという考え方です。だから病院では専門分野が細かく分かれていて症状に応じて特定の科を受診する必要があるんです。

またデカルトは心(意識/精神/魂)と体を別個のものとして切り離して捉え、物質的な肉体のみを治療対象としました。

現在ではストレスが健康状態に影響を及ぼすことは広く認知されており、心理的なアプローチも多少は取り入れられるようになったとはいえ、病院で行われる標準治療は今も、基本的には人体を部品の集積として捉えて異常のあるパーツを治療する、いわゆる対症療法である点に変わりはありません。

この医学モデル(デカルト・モデル)をベースに医療業界は超巨大産業へと成長し、各国で医療費増大の問題が深刻化する一方で、この考え方では効果的に対処できないケースや、原因の説明すらつかない病気や症状があまりにも多いことが明らかになってきました。

1990-2003 遺伝子で病気を治す?ヒトゲノムプロジェクト

人間の設計図とも言える遺伝情報(ゲノム)の全貌を解読する壮大な国際プロジェクトとして1990年に始まったヒトゲノムプロジェクトが2003年に完了。これによる病気の原因解明に大きな期待が寄せられていましたが、その後の研究で遺伝子だけでは説明できない複雑な病気がたくさんあることが判明。

2000年代〜 システム生物学とネットワーク科学の発展

2000年代初め、生命現象を個々の要素ではなく、システム全体として理解しようとするシステム生物学が登場。遺伝子、タンパク質、代謝物質などの相互作用を包括的に分析し、生命のネットワーク・システムの全体像を把握するための研究が本格化します。また、同じ頃、インターネットやソーシャルメディアなどで使われるネットワーク解析の技術が進化し、生物学の分野にも応用されるようになりました。これらの技術が融合し、身体と心をひとつの複雑なネットワークと捉え、その乱れに起因するものとして病気を理解する“ネットワーク医学”が発展していきます。

最新科学が再定義する“健康”の概念とは?

最新科学によって明らかになったのは、人や動物の体はかつて考えられていたほど単純なものではなく、きわめて複雑かつ緻密なネットワークシステムとして機能しているという事実です。だから不調を治すには特定の箇所に着目するのではなく、ネットワーク全体のバランスを調整する必要があります。

不具合が生じている個々のパーツを治療する従来型のアプローチは、一時的に症状を抑えるのには効果的でも、根本治癒にはつながらないのは今やデータからも明らかですが、その理由はここにあったんですね。


また、ネットワーク医学では遺伝子、タンパク質、代謝物質など、分子レベルの複雑な関係性だけでなく、従来の医学では見落とされがちだった心と身体の相互作用も研究対象となっています。脳機能イメージング技術の進歩や生体信号計測技術の発展により、心の状態を客観的なデータとして捉えられるようになり、それらをネットワーク解析に取り入れることが可能になりつつあるのです。

例えば、

・ストレスと免疫系のネットワークの関係
・腸内細菌叢と精神疾患の関係
・社会的つながり(人間関係)と健康状態の関係

など心理社会的要因と病気との関係についても解明が進められています。

あれもこれもネットワークの乱れが原因だった

あらゆる病気の原因についても以下のように理解が大きく変化しています。

旧:デカルトモデル新:ネットワーク医学
糖尿病膵臓の問題
インスリンを生成する機能の不具合が原因
代謝、免疫系、神経系など複数のシステムが相互作用するネットワークの乱れにより、血糖値の調整が困難な状態
うつ病脳内の特定の化学物質(セロトニンなど)の不足が原因脳内の神経ネットワークのアンバランスにより、脳のさまざまな領域間のコミュニケーションが乱れ感情のコントロールやストレス対処能力が低下している状態
線維筋痛症特定の筋肉や組織の問題
痛みの原因は特定できない
脳と神経系のネットワークの乱れが原因。痛みを調整する神経のネットワークが過敏に反応し、本来不要な痛みの信号が送られることで症状が生じ、ネットワーク全体のバランスが崩れた結果として痛みが慢性化
アルツハイマー病脳の特定の部位における神経細胞の死滅が原因脳全体の神経回路の連携が崩れ、脳内のネットワークが適切に機能しなくなり記憶や認知に障害が出る

最新科学によって再定義された“健康”とは「個々の部分が病気でない状態」ではなく「体全体のネットワークシステムがバランスを保ち、調和している状態」

今後の医療は体全体のネットワーク・システムの相互作用や関係性のバランスを調整する、ホリスティックなアプローチへと移行していくのは確実です。

“ネットワーク医学”でどんな病気も治せる未来へ

ネットワーク科学の第一人者としてネットワーク医学の分野を牽引するアルバート=ラズロ・バラバシ(新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く)は、研究が順調に進めば10〜20年後には人体のネットワーク・システムの仕組みが解明され、将来的にはほとんどすべての病気が治せるようになるだろうと展望を語っています。

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実用化に向けての課題

とはいえ、上の動画でバラバシ氏も認めているように、ネットワーク医学が実際の治療に活用できるようになるにはまだたくさんの課題があります。

なにしろ身体と心が相互作用しあうネットワークはきわめて複雑かつ緻密で、現時点の科学で解明できているのはそのごく一部にすぎず、わかっていないことが大半なのです。全体像が理解できていないものを科学技術でコントロールするのは困難ですから、まずは全容解明を目指す必要があります。

1. データ量の膨大さと複雑さ

膨大な数の要素が複雑に絡み合ったネットワークを網羅的に解析し、意味のある情報を抽出するには、従来の生物学や医学の枠組みを超えた、高度なデータ科学や情報技術が必要です。そして大規模なデータの収集・統合・解析には、費用や時間、倫理的な課題も伴います。

2. ネットワークの動的な変化

生体内のネットワークは時間経過や環境変化に応じてつねに変化しています。ある時点でのネットワーク構造を解析するだけでは不十分で、時間軸を含めた動的な変化を捉えなければなりません。動的なネットワーク解析には、さらに高度な数理モデルや解析技術の開発が必要です。

3. 個別性の理解

同じ病気や症状であっても、個人の遺伝情報や生活習慣、社会的および心理的要因によってネットワーク構造や変化のしかたは異なります。個別化された治療を提供するには、個人レベルのネットワーク解析に基づいた診断が必要となりますが、そのためのデータ収集や解析には倫理的な問題も含め多くの課題が残されています。

4. 倫理的な課題

ネットワーク医学では、個人の遺伝情報や生体情報など、大量の個人情報を取り扱うため、プライバシー保護やデータセキュリティ、倫理的な配慮が不可欠です。研究成果の社会への還元方法や、遺伝情報に基づく差別防止など、倫理的な議論も深めなければなりません。

これらの課題解決に向けて、医学、生物学、情報科学、倫理学など、さまざまな分野が連携して取り組む必要があります。今後のさらなる技術革新や倫理的な議論の進展により、ネットワーク医学は、個別化医療や予防医療の実現に大きく貢献すると期待されますが、バラバシ氏の言うように実用化にはまだ数十年単位で時間がかかりそうです。

東洋医学は元祖ネットワーク医学

東洋医学はいわゆる“科学技術”などなかったはずの数千年前に始まった古い学問ですが、伝統的な中医学やアーユルヴェーダでは、身体と心は互いに影響を及ぼしあうエネルギー・ネットワーク・システムとされ、その相互作用の乱れやアンバランスが病気であると見なされています。

この基本概念はまさに現代の最新科学が指し示す方向性と完全に合致しています。数十年前には“科学的根拠がない”神秘主義として揶揄されがちだった東洋医学が、科学の最先端であるネットワーク医学が提唱する“全体性(ホリスティック)”と共鳴しているのは興味深いですよね。

現在では統合医療の一環として東洋医学的なアプローチを取り入れる病院も増えてきました。

今すぐできるネットワーク医学

究極のホリスティックケア“ボディートーク”

最新の科学的知見から医療の未来を考えるなかで出てくるキーワードは?

ネットワーク
コミュニケーション
バランス
関係性
心と体の相互作用
ホリスティック

これらすべてを満たす、今すぐできる療法があるのを知っていますか?

1990年代に“体内のコミュニケーション・ネットワークを修復することで心身のバランスを整え自然治癒力をサポートする”という基本概念ではじまり、つねに最新の科学的エビデンスを取り入れながら発展しつづけてきたボディートークです。

東洋医学の治療家として実績を重ねてきたジョン・ヴェルトハイム博士が開発したこの新しい療法は、当初から従来型の治療では効果が得られなかったさまざまな病気や症状の改善につながったという報告が多く寄せられていましたが、そのメカニズムが今、科学によって解き明かされつつあるということになります。

ボディートークについて

ネットワーク医学の課題をクリア

・内なる知恵に耳を傾ける

とにかくいちばんの問題は心と身体というネットワークがあまりにも複雑かつ緻密すぎて現時点の科学では解明できないこと。

その点、ボディートークは体の声を聴くという手法で最適な調整が可能です。なぜなら「体はぜんぶ知っている」から。

というのも誰にでも生まれながらに備わっている自然治癒力は、そのメカニズムを本人が認識していなくても自動的に発動するものですよね。つまり人知の及ばない複雑な仕組みを体はもともと理解し実行できているのです。しかしコミュニケーション・ネットワークの乱れにより、その“内なる知恵(インネイト・ウィズダム)”にアクセスできなくなっている状態が病気や不調です。

ボディートークでは神経筋バイオフィードバックを用いた独自のテクニックにより体の知恵に耳を傾け、ネットワークのどの部分をどのように修復すればよいかを教えてもらうことで、効率的に調整を進められます。

・関係性を修復する

ボディートークにおいてもっとも重要なのが“リンク”という考え方です。修復や調整が必要な箇所に個別にアプローチするのではなく、つねに“リンク”、すなわちどことどこの関係性を最適化すればよいかを探っていきます。まさにネットワークとして捉えるのが基本となっているわけです。施術のレベルが上がれば上がるほど、このリンクはより多くの要素が複雑に絡み合う複合的な構造になり、より幅広い症状や不調へのアプローチが可能になります。

・ひとりひとりに合わせたパーソナルケア

遺伝子も体質も特性も生まれ育った環境も生活習慣も人生経験もすべてひとりひとり異なります。同じ病気や症状が出ていても、不調の原因となっている複合的な要素とその組み合わせは人それぞれ違うのです。

治療の個別化も科学技術によって行うには膨大なデータが必要とされ現時点では実現困難ですが、個々の体の声を聴きとるボディートークであれば、自ずとひとりひとりに最適化されたパーソナルケアになります。

新しい人体観がもたらすこれからの医療


長く常識と見なされてきたデカルト・モデルからネットワーク・モデル(ダイナミック・システムズ・モデル)への転換により、健康や病気、ヘルスケアの概念は近年、大きく様変わりしつつあります。

科学的エビデンスが追いついてきたこともあり、当初は“怪しい”と訝しがられていたボディートークも、現在では欧米を中心に広く活用されるようになりました。

デカルト・モデルの西洋医学では“治らない”病気や症状にお悩みの方は、ボディートークのように心身のネットワーク・システム全体のバランスを整える療法を試してみてはいかがでしょうか。

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