Published on: 09/08/2024 | Last updated: 10/06/2024
どんなに筋トレをがんばっても、食事制限をつづけても、下っ腹だけはどうしても痩せない…。その一番の原因は食べ過ぎ飲み過ぎでも、筋肉が足りないからでも、姿勢が悪いからでも、年を取ったからでもなく、慢性的なストレスにより身体がサバイバルモードになっているから。この記事では9割の人が知らない身体と脳の生存本能のメカニズムを詳しく解説、さらにぽっこりお腹を解消するための本当に効果的な方法をご紹介します。
目次
ストレスホルモンと“肥満”の関係
何らかのストレスを感じると、脳からの指令を受けて副腎からコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールは血糖値を上昇させてエネルギーを生み出し、ストレス要因に対処できるように身体の準備を整えます。そして問題が解決されるとコルチゾール値は正常に戻るのです。
これは短期的であれば正常な適応反応であり役に立ちます。やる気を起こさせたり困難を乗り越える力を生み出し、ストレスをモチベーションに変えることができますからね。
またコルチゾールには概日リズム(サーカディアンリズム)という約24時間のサイクルがあり、正常であれば分泌量は朝早くにピークに達し、夜暗くなる頃にもっとも少なくなります。これにより目覚めが促され、日中は活発に仕事やその他のタスクをこなした後、夜はリラックスして眠りにつけるようになっているんです。
しかし、現代人の多くは慢性的に強いストレスにさらされているため、コルチゾールがつねに過剰に分泌されつづけている状態になっています。こうなると不眠や免疫力の低下など多くの健康問題が生じるわけですが、そのひとつが肥満です。とくに下っ腹のぽっこりが取れない原因は“生存本能”にありました。
狩猟採集時代から進化していない生存本能
実は人間の身体は数十万年前の石器時代からほとんど進化していないって知っていましたか? つまり現代社会特有の慢性的なストレスに対処するメカニズムはそもそも備わっていないのです。
現代人は競争社会のなかで仕事や学業のプレッシャーや、経済的な不安、都会での生活リズムの乱れ、孤立感、SNS疲れ、スマホ依存による心身への負担など、つねに精神的ストレスにさらされています。
それによりコルチゾール値がつねに高い状態が長くつづくと、脳は「生存が脅かされている」と判断します。すると本能的に飢餓に備えるサバイバルモードに入ってしまうんです。
なぜなら狩猟採集時代の人々にとっては食糧の確保が最大のストレス要因だったから。今の世界では飢餓の脅威にさらされるという状況を経験する人は少ないですが、石器時代から進化していない人間の脳と身体には長期的な脅威=飢餓という法則で生存本能を働かせるメカニズムが残っているのです。
そのため、脂肪を分解してエネルギーに換える作用をもっているコルチゾールも、ストレスによって分泌が過剰になったり慢性的に過多な状態が続くと、逆に脂肪の分解を抑制し、とくにおなか周りの臓器周辺に脂肪を蓄えるようになります。食糧がなくても生き存えるため、そしてとくに大切な内臓を守るために脂肪を備蓄しようとするんですね。これがいわゆる内臓脂肪です。
こうなると筋トレやダイエットをどんなにがんばっても、ぽっこりお腹とは絶対にさよならできません!
サバイバルモードから抜け出す方法
つまりお腹周りのお肉がどうしても落ちない!というお悩みを解決するにはまずサバイバルモードを解除することが必須となります。そのための方法を5つご紹介しましょう。
1. マインドフルネス瞑想でストレス軽減
マインドフルネス瞑想とは今この瞬間に意識を向け、自分自身の感情や思考の癖をジャッジせずに観察するための練習です。
最近では多くの研究で、定期的にこのような瞑想を行うとストレス反応を和らげ感情を処理しやすくする効果があると実証されています。
一日10分から20分程度の瞑想を習慣にするといいでしょう。
2. 適度な運動をする
適度な運動は身体の緊張をほぐしてストレスホルモンの分泌を抑制し、さらにセロトニンやエンドルフィンといったリラックス効果をもたらすホルモンの放出を促すことがわかっています。
とくにウォーキングやジョギング、水泳、ヨガ、ダンスなど全身を動かす有酸素運動がおすすめ。
WHO(世界保健機関)のガイドラインによると、中強度の有酸素運動を週に150~300分、高強度の有酸素運動なら75~150分ほど行うのが心と体の健康に良いとされています。
3. じゅうぶんな睡眠をとる
睡眠不足はホルモンバランスを乱し、食欲を増進させる可能性があります。
7〜9時間の質の良い睡眠をとるのが理想です。なかなか深く眠れない場合もできるだけ規則正しい生活を心がけるなどして、心と体をしっかり休める時間を取るようにしましょう。
4. 人や動物と触れ合う
人や動物と触れ合うと“幸せホルモン”または“愛情ホルモン”と呼ばれるオキシトシンの分泌が促進され、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が減ることがわかっています。また心拍数が安定してリラックス効果が得られたり、身近な人や動物との信頼や絆が深まれば心の安らぎにもつながります。
5. セラピーの活用
とはいえ、サバイバルモードに陥っている状態では、瞑想をしたくてもうまくできなかったり、体を動かす気にならない、眠りたくても眠れない、人と関わるのもわずらわしいといった調子で上記の方法は難しいケースも多いと思います。
そこでもっともお手軽かつ効果的で誰にでもすぐできるのはセラピーを活用することです。
カウンセリングなどの心理療法もありますが、長期的にサバイバルモードから抜け出せずにいる場合には効果は限定的です。ストレスを引き起こす思考の癖が格納されている潜在意識に直接アプローチできるタイプの療法を選びましょう。
多角的アプローチでサバイバルモードを解除するボディートーク
身体がサバイバルモードに固定されてしまう要因はたくさんあります。ボディートークなら以下のように、あらゆる側面から心身のバランスを整えることで比較的短期間でバランスが取れた正常な状態を回復させられます。
・脳のワイヤリング(神経回路形成)の調整
・過剰なストレスを引き起こす思い込みや“べき思考”の解除
・サーカディアンリズム(概日リズム)の調整=不眠の改善、食欲の正常化
・ホルモンによる体内のコミュニケーションを最適化
・HPA軸(視床下部-下垂体-副腎軸)の調整でストレスに対する内分泌反応を最適化
2ヶ月でお腹のポニョを撃退した話
実はわたしも経験があるんです。コロナ禍の閉塞感がマックスに達していた頃、人生で初めてお腹がポニョッとしてきたことに気づきました。体重は増えていなかったし、当時はステイホームを支援するための取り組みとしてトップアスリートたちが自宅でできるトレーニングのライブ配信をたくさんしてくれていたおかげで、それらを見ながらふだんの何倍も運動はしていたのに、です。
最初は四十代になればそんなものなのかなと考えたりもしたんですが、ふと「あ、サバイバルモードだ!」と思い当たり、3ヶ月に1回のペースで受けていたボディートークを月一に増やしたところ、2ヶ月後にはいつもの引き締まったお腹に戻りました。筋トレは飽きてやめてしまっていたんですけどね。
自分で思っている以上にストレスはかかっているものだし、サバイバルモードに陥ってもなかなか自覚はできないんだなと身をもって実感させられたできごとでした。
まとめ
何をやっても落ちない下っ腹の贅肉、その原因は慢性的なストレスによりサバイバルモードに陥っていること。
原始時代から変わらない心と身体のメカニズムを知れば、お腹周りをスッキリさせられるだけでなく免疫強化、不眠の解消など嬉しい副作用がたくさんついてきます。筋トレや食事制限をがんばって時間と労力をムダにする前に、まずはストレスとうまく付き合い、心身のバランスを整える習慣を取り入れましょう。